エアバス、燃料電池を利用し飛行システムのテストを実施
エアバスはこのほど、燃料電池システムを搭載した旅客機で飛行テストを実施した。燃料電池を利用した旅客機の飛行テストは今回が初めて。この革新的なエネルギー源は、航空機の油圧システムや電力システムを補助的に作動させる動力源として使用された。2月に行われたこの飛行テストは、航空産業における環境保護対策としてエアバスが掲げる計画の一環。燃料電池技術を利用した排気ガスゼロの動力が環境保護にもらたす利点や適合性を評価する研究に役立つ。
飛行テストでは、燃料電池システムにより水素と酸素が反応して生まれた電力は最大20キロワット。燃料電池システムは排気ガスを排出する代わりに水が発生する。燃料電池システムによって航空機の電動モーターポンプや補助用の油圧回路を作動させたり、エルロン(補助翼)を動かしたりした。このシステムは、航空機を旋回させながらの高い荷重をかけた飛行状態でも、無重力状態での飛行状態でも、問題がないことが今回確認された。この飛行テストで燃料電池システムによって発生した水は約10リットル。
燃料電池は排気ガスを出さず、発生した水を航空機で使用する水や廃物処理システムに利用することができるため、航空機の軽量化、そして燃費効率の向上につながる。
エアバスはパートナーと共に、緊急動力システムや補助動力装置(APU)といった、航空機のその他のシステムの代替として燃料電池技術を利用する方法をさらに発展させることができる。また、この技術により空港やその周辺における騒音や排気レベルを大幅に削減することも可能。
今回テストされた燃料電池システムはエアバスとミシュランの共同開発によるもので、ドイツ航空宇宙センター(DLR)が所有するA320テスト機ですでに実験を行っている。エアバスは2005年末から、ミシュラン、リーブヘル・エアロスペース、DLRと共同で燃料電池技術を研究開発している。
エアバスは100座席から525座席以上を装備する最新旅客機を製造する航空機メーカー。フランス、ドイツ、英国、スペインに設計・製造センターを持つ他、日本、米国、中国に現地法人を置く。本社は仏トゥールーズ。EADSが100%出資する。
エアバス ジャパン http://www.airbusjapan.com/
ミシュランは、Hy-Light プロジェクトに参画しています。ここに、エアバスとのジョイントプロジェクトAPAWAGSが存在します。このプロジェクトで開発された燃料電池(SOFC)が、A320に搭載されたと思われます。関連記事です。
Juelich kerosene to hydrogen reformer technology ready for take-off
http://www.fuelcellsworks.com/Supppage3251.html
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